乳がん術後|推奨されるフォローアップ検査とは?
こんにちは!乳腺放射線科医のSatokoです!
今朝、早起きをして、乳がんサバイバーさんでヨガ講師である、Lizさんとインスタライブを行いました。
テーマは「乳がん手術後、経過観察の検査が人によって違うのはなぜ?」
術後に乳がんサバイバーさん同士で話した場合
「同じサブタイプで、ステージも同じなのに、あの人はしたと言っていた検査、私はしてもらっていない...」
とモヤモヤする方もいらっしゃるとのことで、それについて取り上げることになりました。
ガイドラインでは、年1回のマンモグラフィと定期的な医師の診察を受けることを推奨
問診について
約3/4の患者さんが再発の兆候を自覚している、と報告されています。
・乳房や胸壁のしこり、皮膚の変化
・わきや首のしこり
を注意深く観察し、異常を感じた場合は主治医に伝えてみてください。
局所再発をせずに、遠隔転移(肺や肝臓)することは、実に稀ですので、まずは局所のチェックが大切です。
視触診について
視触診により、再発の15%が発見されています。患者さんが気づいていない場合にも有効です。
頻度としては3年以内は3〜6ヶ月ごと、4〜5年は6〜12ヶ月ごと、5年以降は年1回が推奨されています。
マンモグラフィについて
目的としては
・乳房温存をした場合の残存乳房内の乳がん発見
・対側乳房内の乳がん発見
頻度は年1回が推奨されています。
温存した乳房は挟むのも大変だし、痛いと思いますが
術後のマンモグラフィで、何度も再発を見つけたことがあります。
頑張ってください!
参考リンクはこちら↓
患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版
乳癌診療ガイドライン2022年版
超音波検査はどうなのか?
でも実際は、少なくとも乳房超音波は定期的にやっている病院が多いと思います。
ガイドラインではどうでしょうか?
乳癌診療ガイドライン2022年版
条件つきではありますが、被ばくもないし、コストも安いし、ということで
1年以下(6ヶ月等)の間隔で検査することは良い、とされています。
しかし超音波検査を加えることで、がん発見率が向上する一方で
偽陽性(がんではないものを見つけてしまい、追加検査したりすること)率も上がりますので
不安になったり、針生検をしたりしてまた傷ができたり、医療費がかかったり、というデメリットもあります。
その他の検査は実は推奨されていない
・採血で腫瘍マーカーをチェックすること
・無症状の方に、CTで肺転移や肝転移をチェックすること
・無症状の方に、腹部超音波で肝転移をチェックすること
などは、基本的には勧められていません。
(でも実際はやっているところもあるのが現状です、特に腫瘍マーカー)
その理由としては
再発・転移を見つけるのが少し早かろうが、遅かろうが
その後の生存率に影響がない
という、患者さんから見ると、やや乱暴にも見えるかもしれないことが挙げられます。。
頑張って、初期治療を終えられた皆さんが最も恐れているのが、「再発」
再発したらどうしよう
もし再発したらできるだけ早く見つけたい
と思うのは当然のことですが
無症状のうちに検査で少し早く再発がわかり、治療を開始しても
生存期間に変わりがない、という研究結果が複数出ています。
患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版
術後のフォローアップでたくさん検査をやってもらえて嬉しい、安心だ
と、とるかどうかは人それぞれですが
実は無駄な検査である可能性が高いです。
あなたができることは?
ステージやリンパ節転移の程度
サブタイプやグレードにも依存し、再発するかどうかはわからないところです。
過度に心配しすぎることはありませんが
腫瘍マーカーの値に一喜一憂するよりも
ご自身で
手術の傷の様子を定期的に観察したり
反対側の乳房を触ってみたり
わきにしこりがないかチェックすることが大事になります。
乳がん闘病中、不安で仕方がない
主治医には聞きづらいけれど、専門知識がある人に何か聞きたいことがある場合
乳房コンサルティングを受け付けています。
(抗がん剤の選択などは専門外なので、答えかねます)
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