2023年3月11日Breast Awareness Information ピンクリボン助産師アカデミー

35歳で末期の乳がん|こういったケースを減らすために何ができるのか?

インターネットでふと目にした記事。


こういう方を何人も病院で見てきました。



どうすればこういう人を救えるのだろうか?




いつも考えさせられます。

こういう方が受診されるたびに、いつも悔しい気持ちや無力感を感じてきました。


この記事で紹介されている、安岡薫さんは35歳でステージ4の末期乳がん患者

告知された当時は33歳

5歳と1歳のお子さんがいて、まだ下のお子さんの授乳中でした。



推奨されている、乳がん検診は40歳から

この方は35歳なので、検診では助けられません。

またもし40歳を超えていても、授乳中なので、検診は基本的に断られることが多いでしょう。



この記事は「がん末期でも働くことが生きがいになった」という部分に焦点が当てられていますが

記事の中から、私が特に伝えたいところをピックアップしていきます。



受診の遅れの原因は二つ

忙しく、なかなか病院に行けない世代

親の介護に加え、子どもが体調を崩す日も多くて、看病もしなくてはならず、病院に行けない状態が8か月続いていました。


30-40代って本当に忙しいですよね。

子供が小さいうちは熱を出したりしやすいですし、親御さんの介護までされていたとなると、自分のことは後回しになってしまいます。

「お子さんの受験で忙しくて」というのも、よく聞く受診の遅れの理由です。

この症状は乳腺炎からくるものと信じていた

実は、左胸が乳腺炎になりやすかったり、腫れやすかったりという兆候があって、以前から病院にかかっていたのですが、当時は乳腺炎と信じて疑っていませんでした。


「変な感じがしていたけれど、こっちはよくおっぱいが詰まる方だったから」

これもよくある、受診が遅れる理由になっています。

自分で判断せずに、病院を受診してほしい。

でも前述の「忙しい」との理由でおざなりになってしまいます。



子育て世代で乳がんになると

他のがんに比べ、30-40代の子育て世代にかかりやすい乳がん

どのような特徴があるでしょうか?

乳がんと告知された時、自分のことよりも家族のことを先に考えてしまう

まず子供のこと、母親としての自分が先に出ます。

「(長男の幼稚園の)送り迎えはどうしよう」なんて思いました。
それから、当時はまだ次男が母乳を飲んでいたので、「母乳もやめなければいけない」「これまで授乳していても大丈夫だったのか。悪いものを飲ませていたんじゃなかったか」などと考えていました。


そして、妻として。

「年を取ったら一緒にゲートボールしようね」と言っていた夫との約束が守れないな、とも。

夫が泣き崩れていて、それを見るのはつらかったです。

あと、「父親が泣いているのに、母親の私まで泣いちゃだめだ」と思ったかもしれません。


家族のバランスまで俯瞰してしまう。


この反応はよく見られるそうです。切ないですね。


また子育てもままならない状態なので、このような発言もありました。

骨がすでに相当もろくなっていて、骨折しやすい状態になっていました。そのため、まだ1歳だった子どもを抱きかかえたりできなかったのは辛かったですね。私自身が横向きに寝転がって抱くような形にするしかなかった。ラッコのように上に乗せてもいけないといわれました。1歳の子はあれもだめ、これもだめ……。これだとスキンシップがすごく減ってしまいます。かわいそうでしたね。





幼い子供は母親のがんや死をどう受け取るのか?伝える難しさ

乳がんと告知された時、同席された5歳の長男さん

半分わかっていない感じで、泣いていました。「いきなり明日死ぬの? それとも何年か生きて死んじゃうの?」って聞かれましたね。長男は比較的落ち着いていたと思いますが、実は心に傷を負っていたようで、半年ぐらいたつと「ママじゃなくて、僕が代わりに死ねばよかった」と言い出したんです。理由を聞くと「僕はまだそんなに長く生きているわけじゃないから」と。その時に初めて長男は大泣きし、私も一緒に泣きました。


小さいお子さんにどう伝えるのか?

どうお子さんをケアしていくのか?

忙しい外来では中々サポートしてもらえないところですが

悩んでいる方が多いところ。

これから勉強していきたいです。






子供の成長をもう少し見守りたい

記事内で、安岡さんの今後の目標をたずねたところ

ひとまず、3歳の次男が小学校に入学するまでは生きていたいです。ランドセルを背負う姿を見たいんです。


私が画像診断をしていて

肺転移、肝臓への転移がどんどん大きくなっている。

もう脳転移も見つかった。

もう長くはないであろう、その方。

カルテを見ると書いてあるのです。


「幼稚園の入園式まで生きていたい」

「小学校の入学式に出たい」

こういった発言を見るたびに、涙を流す寸前でなんとかこらえていました。


今はこれを書くだけで泣いています。

私自身、子供を産んでから、涙もろくなってしまいましたので。



多くの方が再発、転移なく過ごしていく一方で

若くして乳がんで、お亡くなりになる人もいます。

私はその事実が嫌で嫌でたまりません。


30代、40代に乳がんになり

お亡くなりになる方を一人でも減らしたい!



そのために何ができるのか?

毎日毎日真剣に考えています。


その一つに

ピンクリボン助産師アカデミーがあります。

Satoko Fox
Midwife - ピンクリボン助産師アカデミー


授乳期乳がんは診断の遅れから

ステージが進行している傾向があります。

乳腺炎や母乳のつまりと自己判断する場合

助産師や産婦人科医がそう判断してしまう場合

そういったことを防ぐためにも

今まで乳がんの勉強をする機会のなかった助産師さんに

勉強する場を設けています。


また若くして、乳がんになると、標準治療を選ばず、代替療法を選ぶ傾向もあります。

乳がんを見つけても、適切な治療を受けなければ、治るものも治らない。

そのことをお伝えするため、今月セミナーを行います。





とても大事な話なので、一人でも多くの方に聞いてほしいと願っています。