2022年4月6日Breast Awareness ピンクリボン助産師アカデミー

妊娠期・授乳期乳がんに対する想いを行動へ

助産師さん向けに乳がんの勉強するプログラム「ピンクリボン助産師アカデミー」を主宰している私ですが
「何故この活動をしようと思ったか」について綴っていきます。


医学部5年生の病院実習で妊娠期乳がんの患者さんを受け持つ



私は医学生の頃から、女性の健康をサポートする科に興味を持っていました。

まず最初に考えたのが、産婦人科です。

医学部5年生の病院実習で産婦人科を回っている時に、妊娠期乳がんの患者さんを受け持って衝撃を受けました。



「がんといえば、老年期になるイメージなのに、妊娠、出産するような年齢にがんになるなんて!」



その方は妊娠後期に乳がんと診断されたので、予定帝王切開で、出産後すぐに手術をすることになりました。

新たな命の誕生は幸せの象徴であるのに対し、出産後すぐに乳がんの治療を始めなければならない複雑な状況で、その方の表情を今でも鮮明に覚えています。

そのことをきっかけに比較的若い世代にも罹患する乳がんに興味がわきました。

初期研修で産婦人科を2ヶ月、乳腺外科を2ヶ月回りました。


授乳期乳がんに対する歯がゆい経験


その後紆余曲折を経て、乳腺を専門とする放射線科医となり、授乳期乳がんの症例を経験しましたが

授乳期乳がんのうち、何人かの患者さんはかなり進行した状態で病院を受診し

その中には「助産師さんが母乳が詰まっているだけと言ったから様子をみていた」というケースが見られ、なんともはがゆい思いをしていました。

小さいお子さんを残したまま、お亡くなりになる方もいました。



自分自身が妊娠・出産


そして自身が遅らばせながら妊娠・出産。

妊娠直後からダイナミックに変化する乳房に戸惑いを覚えました。

それまで私にとって乳房とは乳がんができる場所といった印象が強かったのですが、

授乳をするためにある臓器なのだと、思い直しました(当たり前のことなんですけど笑)。

そして授乳中のおっぱいはしこりができては消え、できては消え、確かにわかりにくいな、と実感しました。




助産師さんとの出会い

そんな中、妊娠中にお世話になった『ベイエリア妊娠・産後サポートグループ』に恩返しをしたいと思い、ボランティアで産後ファシリテーターとしてお手伝いする中、たくさんの助産師さんと知り合いになりました。

お話を重ねる中で、助産師さんは母乳のこと、授乳中のトラブルにはとっても詳しいけれど、乳がんのことはあまり習っていない、勉強する機会も少ない、ということを知りました。

「同じおっぱいに関する仕事なのに」と、少し不思議な気持ちになりました。

またサポートグループで多くのお母さんから、授乳期の乳がん検診、授乳中のしこりのことで質問を受けました。





授乳中に乳がんが見つかった美香さんと知り合う



2021年6月に行った乳がん検診のセミナー後、39歳で授乳中に乳がんが発見された乳がんサバイバーの永田美香さんから連絡をもらい、一緒にセミナーをしてみようということになりました。

美香さんも助産師さんに「大丈夫」と言われたため、半年間受診が遅れたひとりでした。

8月に永田美香さんと共催した「授乳期乳がんについて考える」セミナーでは、200名を超える方が参加してくださり、皆さんの関心の高さが伝わってきました。

会の最中にたくさんの質問をいただき、セミナー後ももっと「学びたい」というお声をいただいたため、11月に助産師さん向けに特化した「授乳期乳がんについて考えるQ&Aセッション」の開催に至りました。

その際にも100名近い助産師さんが参加してくださり、「乳がんのこと気になっていたけれど、こういう機会が今までなかった。」とおっしゃっていました。




助産師さんからヒアリングを重ねて

セミナー受講者の助産師さんとの公式LINEグループを作り、メッセージのやり取りを重ね、座談会を開催し、貴重なご意見や様々な疑問をいただきました。

そこでわかったことは、現時点で、助産師さんが乳がんのことを勉強する場はなく、助産師さんと乳腺外科医の連携はほとんどない、ということです。

けれど、乳がんではないか、と悩んでいる妊娠期・授乳期の方がいる、実際に乳がんの方もいらっしゃるという事実がある。

頻度が多くないからと言って、見過ごすわけにはいきません。

「ならば!」と思い、助産師さんが乳がんについて学べる場を提供することとしました。



今後のビジョン


女性の社会進出、高齢出産化+乳がん自体が増えていることより

妊娠期・授乳期に乳がんになる方も増加傾向です。

また乳がん治療後に、妊娠・出産することも珍しくなくなってきました。



助産師さんが乳がんの勉強をすることは社会的意義がある、と私は確信しています。

助産師さん同士、将来的には助産師さんと乳腺外科医が一緒になって、社会に求められる体制を共に創って行きたいと思っています。

(私はつなぎ役です)


病院や社会の制度を変えるには時間がかかります。

都心部や地方での医療格差も存在します。


オンラインで学び

不安な方をひとりでも減らせる社会を、私と一緒に創っていきませんか?

詳しくは 助産師さんグループページをご覧ください。



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