助産師と乳がんの関わりを考える
こんにちは!乳腺放射線科医のSatokoです!
少し前から、ピンクリボン助産師アカデミーで継続的に勉強してくださっている助産師さんに
グループの感想などのインタビューを行っています。
今回は開業助産師である、山本淳子さんにお願いしました。
大切なお話をたくさんしてくださったので、ブログのほうでもシェアさせていただきます!
助産師と乳がんの関わりを考えるようになったのは、二人の乳がんの方との関わりから
1. 乳がん全摘後 片方でも母乳をあげたい、という母の想いに胸を打たれて
最初の乳がんとの関わりは、乳がん全摘後の方の母乳育児支援をした経験から。
乳がんになって、子供はもう産めないかもしれない、と思ったけれど
子供を授かって
片方のおっぱいしかないけれど
授乳を頑張りたい、少しでも飲ませてあげたい
そんなお母さんの支援を約一年間続け
断乳した時には、「サポートをしてくれる助産師さんがいてくれて、本当によかった」と感謝されたそうです。
2. ずっと「おっぱいの残りだ」と言われ続けて、実際は乳がんだった方と関わって
次にお子さんが1歳3ヶ月の、あるお母さんが助産院に来られます。
乳房には硬いしこりがあり、脇にもしこりが触れます。
触った瞬間に「これは母乳のたまりではない」と確信した山本さん。
これまでの経緯を聞いてみると
生後4ヶ月ごろからしこりに気づきましたが
産婦人科に行き、そこの助産師さんに何度も「母乳が溜まっているから飲ませて」
と言われ、ずっとそう信じて搾乳を行ってきたそうです。
乳腺外科の受診を勧めると「行きたくない」というお母さん。
何故なら母親が乳がんだったから、と言うのです。
受診を拒んだものの、なんとか説得し、総合病院を受診。
乳がんと診断され、数週間後に手術となりました。
「本当に乳がんなんですか?ずっと母乳のたまりだと言われていたのに...」
と事実を受け入れるのが難しかった彼女を
手術後、入院中に訪れたり
また退院後、断乳ケアをしながら、色々なお話をずっと傾聴したそうです。
「乳がんと向き合え」と言われているような気がした
この二つの事例から「乳がんと向き合え」と言われているような気がした山本さん。
・助産師も乳がんの人と関わることがある
・助産師が正しい知識を持って、その人に関わっていかなければいけない
と感じました。
それから、3人の乳がんの方が来院され
開業15年間でトータル5人の乳がんの方と関わった経験をお持ちです。
この経験談は過去のグルコンで発表して下さいました。
また、山本さん自身、ご自分で乳がんの勉強をしようとしてはいましたが
ドクター向けのものは難しすぎて、これまで「これだ!」と思うものに
出会うことはできなかったとおっしゃっています。
乳がんの勉強ができ、助産師同士で経験をシェアできるグルコン
山本さんも毎回グルコンに参加してくださっている助産師さんの一人ですが
「毎回勉強になり、グルコンで得た知識が少しずつお母さんへの支援の中に加わっている」
とおっしゃってくださっています。
また、「他の助産師とシェアできるところに価値を感じ、こんな場は他にはなかった」
とも、言って下さいました。
助産師ほど、女性の乳房に触ることができる職業はない。
しこりに気づき、受診を勧められるのも助産師なので
乳がんの知識は持っておいた方がいい
と繰り返し、強調されていました。
授乳期乳がんは症状に気付いても
正しく診断されるまでに時間がかかる傾向があります。
乳腺炎や母乳のつまりと自己判断する場合
助産師や産婦人科医がそう判断してしまう場合
そういったことを防ぐためにも
今まで乳がんの勉強をする機会のなかった助産師さんに
勉強ができる場を設けています。
「このしこりって大丈夫かな?」と不安に思った経験のある助産師さん
仲間に加わり、一緒に勉強しませんか?
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