在米日本人女性として、USPSTFの乳がん検診ガイドライン変更に安堵
2023年5月9日にUSPSTF(米国予防医学専門委員会)は乳がん検診ガイドラインの一部変更を行いました。
以前は50-74歳に推奨していたマンモグラフィ検診を40歳代にも推奨する、と。
2009年にUSPSTFは
「40歳代の女性に対しては、マンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない」と
発表しました。
その理由として、不利益(偽陰性や偽陽性、過剰診断や過剰治療)が利益を上回ると結論づけたのですが
この発表は物議をかもしており、ACR(米国放射線学会)は抗議のステートメントを出したりしていました。
アメリカには様々な乳がん検診のガイドラインが存在しますが
どのガイドラインを支持するかはプライマリケア医によります。
そして2009年に発表されたUSPSTFのガイドラインを支持するプライマリケア医も多く
40歳代で家族歴がないと「あなたにはまだ必要ない」と言われて乳がん検診受けられなかった、というお話を
何人もから聞いたことがあります。
でも日本人女性の乳がん罹患は40代後半に1回目のピークが来ます。
閉経後に乳がん罹患が多い欧米と比べると、ピークが早いのはこのグラフからお分かりいただけるかと思います。
またそう発言するプライマリケア医の中には
「アジア人は乳がんにならないから」といまだに信じている人がいるのです。
たしかに昔はそうでした。35人に1人の時代もあったと聞きます。
でも今や日本でも9人に1人。8人に1人のアメリカとそう変わらなくなってきているのです。
Tsuchida J, Nagahashi M, Rashid O, et al.
At what age should screening mammography be
recommended for Asian women?
Cancer Med. 2015
私のアメリカでの乳がん検診の意見はこうでした。
ハイリスクの人はMRIも受けられて手厚いが、アベレージリスクの人はないがしろにされている。
リスクファクターが何も当てはまらなくても
30-40歳代で乳がんになった方をごまんと見てきました。
だから最低40歳からは絶対に行って欲しいと思っています。
ましてやひとつのガイドラインのせいで
乳がん検診に行こうと思っている人からその機会を奪うのはあんまりじゃないか、と
ちょっとご立腹でした。
更にいくつかの報告で
アメリカに住んでいる日本人は、日本に住んでいる日本人よりも
乳がん罹患率が高い
という結果が出ています。
そもそも、乳がん罹患が増えている原因として
欧米化した生活習慣が挙げられており
アメリカに住んでいると、生活習慣の欧米化がより強く影響するからです。
だからアメリカに住んでいる日本人は
自戒を含め、特に気をつけてもらいたいのです!!
でも以前のUSPSTFのガイドラインのせいで
40歳代に乳がん検診に行けない、という事態が発生していました。
しかし、今回変更があり安堵しています。
プライマリケア医に周知徹底していただきたいと思います。
マンモグラフィによる乳がん検診は全てを解決しません。
問題も山積みです。
しかし、40歳からマンモグラフィによる乳がん検診に定期的に行くことは
最低限必要なことです。
色々疑問や不満もおありでしょう。
乳がん検診について勉強したくなった方
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