炎症性乳がんサバイバーさんが伝えたい「乳がんの症状はしこりだけじゃない!」
こんにちは!乳腺放射線科医のSatokoです!
私は助産師さん向けに乳がんの勉強ができる場を提供する「ピンクリボン助産師アカデミー」を主宰しています。
その中で、授乳期になると乳腺炎と誤診される可能性が高い、炎症性乳がんについても取り上げています。
珍しいタイプの局所進行性乳がんで、診断が難しい上に、予後も悪い。
「あの時、私が気づかなかったからだ...」と心に傷を負う、助産師さんがいなくなるよう、講義の中でも度々取り上げています。
もちろん一般の方にも、頭の片隅に入れておいていただきたい疾患です!
ある日その関連のポストを見た、炎症性乳がんサバイバーさんがインスタ上でコメントをくださいました。
連絡をとってみると、私が過去に行ったセミナーにも参加してくださったそうで
「私の経験が少しでも役に立てば」との想いから
インタビューをさせていただけることになりました。
貴重なインタビュー動画はこちらです▼
動画内でお話くださっている、症状の経過について、以下にまとめます。
生理前のような乳房の張りが出現
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痛みが強くなる
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乳腺炎のように痛くて、乳房がガチガチの状態になる
↓
乳首が陥没 (ここで初めて乳腺外科を受診)
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皮膚が赤くなる
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赤みが乳房全体に広がる
↓
患側が巨大化し、左右差が明らかになる
↓
橙皮状皮膚に加え、ベタベタした感覚になる
炎症性乳がんの症状で有名な、皮膚の赤みというのはしばらく見られず
それよりも張った感じや痛みが主体でした。
症状が典型的でなかった場合は、特に注意が必要ですね。
ご自身は
・自治体の乳がん検診で、マンモグラフィ検査を定期的に受けていたこと
・まさか自分の症状が乳がんとは思わなかったこと
という理由で、最初に症状が出てから病院を受診するまでに半年かかってしまったそうです。
この反省から
乳がんの症状はしこりだけじゃない
変だと思った時にいかに早く、そしてしかるべき医師のところにかかることが大事であること
を伝えたく、これからも啓蒙発動やがん教育に取り組んでいかれるそうです。
この方の良かった点としては
・初診でがんと診断がついた
・抗がん剤がよく効いた
が挙げられ、術後5年を迎えられています。
診断の遅れもありますが、治療を行ったとしても、生命予後の悪い炎症性乳がん
見つかった時には既にT4d(ステージⅢ)以上であり、初診時にリンパ節転移や遠隔転移も多くみられます。
この間、参加した学会の産婦人科の先生の発表でも
産婦人科医も乳腺の病気を知っておくべき
あの時、炎症性乳がんを見逃したことを悔いている
とおっしゃっており
改めて、産婦人科の先生や、助産師さんにも知っておいてもらいたい疾患だと、感じました。
炎症性乳がんについては
ピンクリボン助産師アカデミー
・授乳期における乳がん+α講座
・ピンクリボン助産師さんグループ10月グルコン
でも説明しています。
是非、勉強してみてください!