喪失を超えて伝える―医師であり当事者が語る、これからのプレコンセプションケア
「会場でお話を伺いながら、どこか多幸感に包まれるような感覚がありました。でも、改めて録画を視聴する中で、これは個人の努力だけでは解決できない、大きな社会課題なのだと深く考えさせられました」

昨年12月に、千葉市助産師会で開催された不妊不育研修で講師を務めさせていただき、
終了後にたくさんの素晴らしい感想をいただきました。
今回は「プレコンセプションケア、どう伝える?―流産・子宮外妊娠を経験した医師の立場から―」
というテーマでお話しさせていただきました。
医学的知識をお伝えするだけでなく、私自身の喪失体験、そこから見えてきた社会の課題、そして何より「望まないライフイベントの後も、どう自己を肯定して生きていくのか」という一人の女性としての歩みを共有した時間でもありました。
専門職である助産師の皆さまが、知識の習得にとどまらず、私の経験にも真摯に耳を傾けてくださったことで、会場には温かく、そして力強い一体感が生まれていました。
会場+zoomのハイブリッド開催でしたが、オンデマンド配信でも多くの方にご視聴いただき、たくさんの熱いフィードバックを頂戴しました。
今回は、その一部をご紹介いたします。
1.医師自身の「体験」がもたらした気づき
もっとも多かったのは、教科書的な知識ではなく、実体験に基づいた話に心を動かされたという声でした。
「先生が流産後に薬での排出を選んだ際、自分都合で追い出したと悩まれたお話が響きました。当事者になったことがないため、お気持ちを全然理解できていなかったと猛省しました。」
「わかっているつもりで、本当のところは全然わかっていなかったのだなと思いました。抱えきれないほどの大きな喪失と衝撃を胸に秘めていらっしゃることを前提に、私にできることを考え続けたいです。」
「辛い体験を聞きやすく伝えていただき、誰かが声をあげることで同じような体験をされた方が心を通わせる場所ができるのだと感じました。」
2.「社会課題」としてのプレコンセプションケア
プレコンセプションケアを、個人のヘルスケアにとどまらず、キャリアやジェンダー、社会構造の問題として捉え直す視点にも多くの共感が寄せられました。
「プレコンセプションケアが抱える問題は個人の努力では解決できない、非常に大きな社会課題であると深く考えさせられました。」
「『おじさんに優しい世界』から、本当の意味で女性に優しい世界へと変えていくために、私自身も考え続け、行動していきたい。」
「単なる妊孕性の話ではなく、人生の幸福・生活の質・多様な価値観を尊重した、まさに新しいプレコンセプションケアのあり方だと感じました。」
3.明日からの支援に活かせる「考え方」のヒント
スライドの内容や支援者としての姿勢についても、多くの学びがあったとの声をいただきました。
「『おどさない』『おしつけない』『あきらめない』を常に忘れず、相手に納得して選んでもらえるための支援をしていきたいです。」
「セロトニン・オキシトシン・ドーパミンの三角図が印象的でした。ベースの心と身体の健康(セロトニン的幸福)を意識できるかが重要だと感じました。」
「『評価できること』というスライドタイトルが心に残っています。自分をどう評価し、肯定していくかという視点を、支援の場で大切にしたいです。」
4.「元気・パワーをもらった」という声
最も嬉しかったのが、元気をもらったというお声でした!
■ お人柄から溢れるパワー
「先生の明るく、素敵なお人柄に吸い込まれるようにお話を拝聴させて頂きました。パワフルな人間力に尊敬の気持ちでいっぱいです。」
「先生のパワフルさを直接会場で感じることができ、元気になります。明日からの活力となる刺激をいただきました。」
「先生の朗らかなお人柄に、元気をいただきました。またご講義をお聴きしたいです!」
■ 伝え方や活動姿勢への感動
「会場ではお話に心を打たれ、どこか多幸感に包まれるような感覚で拝聴しておりました。」
「先生のこれまでの人生の歩みと、そこから紡がれた力強いメッセージに大きくエンパワーされました。」
「講演を通して、大きな感動と学びをいただきました。先生のますますのご活躍をお祈りしております。」
「先生の啓蒙活動に尊さを感じました。助産師の立場で意識し続けます。」
・・・まさか、こんなに褒められるとは(笑)。
実際、会場に行けて本当に良かったなぁと思いました。
ご参加くださった皆さま、そして貴重な機会をくださった千葉市助産師会の皆さま、本当にありがとうございました。

研修終了後、助産師会幹事のみなさまとランチをご一緒しました!
不妊・不育研修、プレコンセプションケア研修の講師を担当します!
日本では近年、少子化対策の一環として、自治体主導のプレコンセプションケア研修が数多く実施されています。
その一方で、「妊孕性や不妊治療の成績に焦点が偏りすぎていて、現場での支援に落とし込みにくい」という声を耳にすることもあります。
プレコンセプションケアは"妊娠のための準備教育"にとどまらず、
一人ひとりが、自分の人生をどう選び、どう生きていくのか―その自己決定を支える概念でもあるはずです。
妊娠する人もしない人も。
望んで叶う人も、望んでも叶わない人も。
予期せぬ妊娠を経験する人も、喪失を経験する人も。
そのすべてを包み込む視点がなければ、プレコンセプションケアは、意図せず誰かを追い詰めてしまう可能性があります。
私はカリフォルニア在住という立場から、
多様な価値観、ジェンダー観、家族観に日常的に触れています。
同時に、
・不妊と喪失を経験した当事者
・医師という専門職のキャリア女性
・娘を育てる母
という複数の立場を生きています。
だからこそ、
医学的エビデンスだけでもなく、
当事者性だけでもなく、
政策論だけでもない、
「人生の質(QOL)」「自己決定」「幸福」「社会構造」という視点を含めた、
立体的なプレコンセプションケアをお伝えすることができます。
少子化対策のための研修ではなく、
女性の人生を支えるための研修を。
支援者が“正しく伝える人”になるだけでなく、
“ともに考え続ける人”になるための時間を。
そのような場を、これからも各地で創っていきたいと考えています。
不妊・不育研修、プレコンセプションケア研修の講師をお引き受けしております。
基本はオンライン開催となりますが、日本へもちょくちょく帰国していますので、日程が合えば現地開催も可能です。
自治体、医療機関、助産師会、教育機関など、対象に応じて内容をカスタマイズいたします。
これからのプレコンセプションケアを、ともに再定義する場をご一緒できれば幸いです。

お問い合わせはこちらから
Pregnancy Lossを一人で抱えていませんか?

オンラインでのピアサポートグループ
お腹の赤ちゃんを急に失った悲しみに寄り添い、心をケアする体制がまだまだ整っていません。
最近経験して気持ちの行き場がない方、かなり前に経験したけれど、消化できていない方。泣いたり、話したり、聞いたり、なんでもよし。
ご都合の合うタイミングで参加していただければ、と思います。

「望まない妊娠」を恐れていた私は間違っていた?──私が辿り着いた答え|Satoko Fox
先日、千葉市助産師会の不妊・不育研修にて 「プレコンセプションケア、どう伝える? ― 流産・子宮外妊娠を経験した医師の立場から」 というテーマで講演を行った。 ありがたいことに反響は大きく、 自分のつらい経験も、誰かの学びや支えになるのだと実感した。 同時に、「これは私にしか語れない話なのかもしれない」という確信も芽生え、この分野で、もう一度しっかり発信をしていきたいと思うようになった。 この講演準備を通して、私は改めて自分自身に問い直した。 私は、妊娠・出産というものを、どう捉えて生きてきたのだろうか。 実は私は、小さい頃から 「いつか必ず子どもを産みたい」と強く願ってきた人


