1月は子宮頸がん啓発月間!HPVワクチン接種と定期検診で守るあなたと家族の未来
毎年1月は Cervical Health Awareness Month(子宮頸がん検診・啓発月間)です。
この月は子宮頸がんの予防や検診、定期的な検診などの重要性について学び、子宮頸がんの早期発見や撲滅に貢献することを目的としています。

子宮頸がんの原因と予防は?
子宮頸がん罹患者の多くは20-40代で、日本では毎年約1万人がかかり、約3000人の女性がお亡くなりになっています。
先進国では子宮頸がんの罹患率及び死亡率は減少傾向ですが、日本ではいずれも増加傾向にあります。
原因の95%は ヒトパピローマウイルス(HPV) というウイルスへの感染で、性交渉により感染します。
HPVは特殊なウィルスではなく、性交渉の経験がある女性の50-80%は感染することが明らかになっています。
感染しても約90%の人は、免疫によってウィルスが自然に消えますが、一部の人で持続感染し、前がん病変(異形成)となり、数年から数十年かけて、子宮頸がんへと進行していきます。
HPVには複数の種類がありますが、特にHPV16型・HPV18型(ハイリスクHPV)は、異形成や子宮頸がんへの進行スピードがはやいとされています。
がん予防には2つのアプローチがあります。
一次予防:がんの発生そのものを防ぐ
- HPVワクチン接種(子宮頸がんの予防に有効)
- 健康的な生活習慣(禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動)
- 感染や発がん性物質への曝露を防ぐ
二次予防:がんを早期に発見・治療する
- 定期的な検診
- 症状が軽いうちに医療機関を受診する
HPV感染、特にハイリスクHPVの感染を防ぐことが、子宮頸がんにならないための手段になります。
HPV感染というがんの発生原因がはっきり分かっている子宮頸がんは、一次予防が可能なのです!!
一次予防:HPVワクチン接種率の現状
HPVワクチン接種により、子宮頸がんの90%が予防できると言われています。
このワクチンはアメリカでまず2006年に認可され接種が開始され、日本では2013年から接種が推奨されるようになりました。
基本的に3回の接種が必要で、接種完了までには半年かかります。
日本では12-16歳の女子に公費で医療機関での接種が推奨されていますが、ワクチンの副反応の報告を受け、厚生労働省が積極的勧奨を差し控えた結果、接種率は1%未満に急落。
その後、2022年より積極的勧奨が再開されましたが、2022年度末時点での接種率は 16.16% にとどまっています。
一方、私の住むアメリカでは男女ともに11-12歳の接種が推奨されています(医療機関)。
接種率は女子61.4%、男子56.0%と日本よりははるかに高いものの、その他の先進国と比較すると低い傾向にあります。
ではワクチンは本当に効果があるのでしょうか?
HPVワクチン 有効性のエビデンス
2020年にNew England Journalに発表された、スウェーデンからの報告では
4価HPVワクチンを接種した人は、上皮内がんだけでなく、浸潤がんが63%減少
また接種する年齢も大切で、16 歳までに接種した人はしていない人に比べ、88%子宮頸がんにかかりにくかったのです。

N Engl J Med. 2020 Oct 1;383(14):1340-1348
実際に4価HPVワクチンは子宮頸がん(浸潤がん)を予防します。
また16歳までに接種した方が効果的です。
また厚生労働省が積極的勧奨を差し控えていた期間に接種対象だった人たち(1997年ー2007年度生まれ)は、2022年4月から3年間無料で接種できます(キャッチアップ接種)。
キャッチアップ接種は2025年3月31日まででしたが、条件つきで2026年3月31日まで延長されました。
2025年3月までに1回でも接種すれば、2026年3月までに2, 3回目の接種を公費で受けられます。
副反応も気になるかと思いますが、受けるリスクも受けないリスクも存在します。
接種が推奨されているのは10代。親の意向によるところも大きいかと思いますが
是非正しい情報にアクセスし、検討してみてください。
しかし「日本は世界の中でワクチンに対する信頼性が最も低い国である」という研究が発表されたこともあり、ワクチン接種率が急速に上がることはないのでは...。
では二次予防となる、定期検診についてみていきましょう。
二次予防:子宮頸がん検診 方法と検診受診率
日本
- 20歳以上の女性に 2年に1回の細胞診(パップテスト) が推奨されていますが、検診受診率は約 38% と低いのが現状です。
- 特に20代の受診率は 26.5% にとどまり、検診を受けたことがない女性が多いのが課題です。
アメリカ
- 21~29歳は 3年に1回の細胞診、30歳以上は 5年に1回のHPV検査+細胞診の併用検査 が一般的です。
- 受診率は約 85% と高く、制度や意識の違いが受診率に反映されています。
一次予防のワクチン接種に抵抗がある人は、せめて二次予防の定期検診を!と言いたいところですが、日本人女性の6割は「子宮頸がん検診を受けたことも・受ける予定もない女性」との報告も見られました。チーン。
でも、cervical healthは決して自分だけの問題ではなく、次世代に影響することも。
治療により、妊孕性への影響も多大です。
子宮頸がんと妊孕性の影響
前がん病変で見つかったケース
検診で要精密検査となり、精査の上、子宮頸がんの前癌病変(CIN3やAIS)や上皮内がんとなった場合、治療法として、子宮の入り口付近を円錐状に切除する「円錐切除術」が選択されます。
子宮を温存できるため、妊娠や出産の可能性を残すことができますが、なんの問題のないかといえばそうでもない!
1. 子宮頸部の狭窄による痛み
手術後に子宮頸管が狭くなったり、癒着により硬くなる場合があります。
体外受精時の胚移植や子宮内膜の検査でカテーテルの挿入が困難になり、痛みを伴うことがあります。
2. 子宮頸管無力症
子宮頸管無力症は、円錐切除後、子宮頸管が短くなることで、妊娠中に子宮頸管が適切に閉じた状態を維持できず、妊娠中期~後期にかけて早産や流産のリスクが高まる状態を指します(1.5-3倍)。
円錐切除の切除範囲が大きい場合、複数回の手術歴などでリスクが上がります。
そのため、円錐切除後の妊娠では、慎重な管理が求められます。
子宮頸がんと診断されたケース
広がり具合にもよりますが、基本「子宮全摘出術」+α
子宮を摘出すると、妊娠・出産はできませんよね。
日本では、代理出産や養子縁組がまだまだ一般的ではないため、子宮全摘をするとお母さんになることは難しくなります。
この間、産婦人科の先生の講義で聞いたのですが、子宮頸がんが原因で、30歳までに子宮をとることになる方は年間1000人もいらっしゃるそうです。
卵子凍結よりも、HPVワクチン接種を
本当にその通りです。
あなたや娘のため、未来の子供に会えるために
子宮頸がんは1次予防も2次予防もできる病気です。
☑︎HPVワクチン接種:適切な年齢で接種を検討する
☑︎定期的な検診:早期発見と治療が鍵
☑︎正しい知識を持つ:がん予防の重要性を理解し、行動する
HPVワクチンの接種推奨年齢は10代であるため、実際に接種するかどうかの判断は本人だけでなく、主に親の意向が大きな影響を及ぼします。そのため、普段から家族全体でヘルスリテラシーを高めることが大切です。
正しい知識を身につけ、ヘルスリテラシーを向上させることは、自分自身の健康を守るだけでなく、家族や将来生まれてくる子どもたちの健康を守る基盤にもなります。こうした取り組みは、妊娠を計画する前から心身の健康を整える「プレコンセプションケア」としても非常に重要です。
この1月という「子宮頸がん検診・啓発月間」をきっかけに、子宮頸がん予防への意識を高め、定期検診やHPVワクチン接種など、自分にできることから始めてみましょう!
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