セミナー「乳がんの標準治療とヘルスリテラシー」を終えて
こんにちは!乳腺放射線科医のSatokoです!
昨日セミナー「乳がんの標準治療とヘルスリテラシー」を行い
リアルタイムでは、31名の方にご参加いただくことができました。
土曜の夜遅くにご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました!
ずっと心の中であたためてきた企画だったので
スライドを作り出したら、自分の中で盛り上がってしまい(笑)
どんどん増えてしまったのですが
下記のように3部に分けて、プレゼンテーションを行いました。
第1部:標準治療とヘルスリテラシー
コロナワクチンのデマがインターネット上で拡散され
有名になった「ヘルスリテラシー」という言葉。
正しい情報と間違った情報を見分けるポイント
「か・ち・も・な・い(価値もない)」に加え
標準治療は、有効性、安全性が確立された、現時点で最善の治療であること!
標準治療はどのような流れで出来上がっているのか?
についてお話しました。
英語の"Standard" は"基軸のなるもの"という意味に対し
日本語で「標準」と言うと「平均的なもの」という意味でとることが多い
という言葉のニュアンスについて、元英語教師のべぇさんから解説いただきました!
またみちこ先生からは
・標準治療よりもっといい治療を受けたい
・標準治療より、ニュースで見た最新の治療を受けたい
と、実際外来で言われることもあるというお話しも伺いました。
第2部:代替療法
まず最初に
代替療法を選んだ人は、標準治療を選んだ人に対し、死亡率が5倍高くなる
という論文を紹介しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28922780/
そして代替療法のパターンは
1. 難しい名前のもどき療法
医者がやっていて、これらは
・最先端と誤解させる自由診療
・権威性を打ち出したやり方
・はぐれ医、爺医の天下り先
免疫◯◯療法や◯◯細胞療法に注意です!!
2. 振り切って、古典的な方法やスピリチュアルに走るもの
医者以外、様々なセラピストもやっていて
放置や食事、気功や催眠療法etcがあります。
奥さんが乳がんであることをお知らせしたあと
たくさんの方から代替療法を勧められたべぇさんのエピソードを伺いました。
セラピストという仕事柄、健康に関わる仕事をしている方が多い環境にいた、べぇさん
実際に勧められたものとして
・ビタミン
・サプリメント
・にんじんジュース
・もずく
・水
・引越し
・陰陽師(しかもドクターから)
びっくりしたのが、標準治療を選ぶと決めた後の周囲の反応...
「抗がん剤を選ぶなんて失望しました」
「がっかりしました」
「見損ないました」
と言われたこともあったそうです。
がんを申告された本人や家族の立場からべぇさんと
がんを申告する側のドクターの立場のみちこ先生との
ディスカッションも色々考えさせられました。
第3部:伝える力を考える
ある学会で、ヘルスコミュニケーションの講義を受けてから
伝える方法、どうやったら難しいことも分かりやすく伝えられるのか?
についてより考えるようになりました。
確かに学会のウェブは、難しいし、見にくい。
がん患者となれば、自分のことだし調べざるを得ませんが
まだなっていない人からすれば、見る気もしないし、頭には残らないでしょう。
また企業は売り上げを上げるために、広告を出したり、PRについて試行錯誤するのに対し
病院や医師はそこに余裕も予算もない。
その違いはありますが
「正しいことをわかってもらうために、伝える力を鍛える必要がある」と熱く語りました。
手前味噌ですが、素晴らしい会になったと思っています。
私が再度強調したいのが
標準治療で助けられないことはあるが
最初に間違って、代替療法を選んでしまうと、救える命も救えないことがある。
代替医療はエビデンスがなく、高額。
症状を緩和するために、標準治療と併用することは反対しないが
あまり高いのは、ただ騙されている可能性があることを忘れないでほしい。
早速色々感想をいただいているので、いくつか紹介させていただきます。
セミナーの内容もさることながら、優しい空気感がSatokoさんとパネラーお二人の人柄がにじみ出てるなあと感じました。
また、人間は不安になったとき、藁をも掴む思いから、正常な判断ができなくなる…自分に過信せず、普段から理性を磨く必要があると個人的に考えました。
大事なことを教えていただき、まことにありがとうございました。
今日も大変勉強になりました。
標準治療を行った上で、お金儲け主義では無い代替医療の良い面を併用して、患者さんの心身のベースラインが高く保って行けると良いな、と思いました。
現代でも花咲乳がんから骨転移迄放置されてしまっていた症例があるとはビックリでした。
早期発見、早期治療をますます啓発して行く必要があると再認識しました。
早期受診を後押し出来る医療者として頑張りたいと思います。
とても勉強になりました!スライドもとっても分かりやすかったです!
患者家族のべぇさんのお話も落ち着いた口調に安心感があり、また、実際にがんを宣告されるみちこ先生のお話も説得力がありました。
3人揃ってのお話しだったからこそ、1時間半があっという間でした。
今日のお話をもとに、もし自分が乳がんになったら、もしくは周囲で乳がんになった知人がいたら、標準治療が大谷選手くらい貴重なものなんだ、って心して伝えようと思います!
アーカイブの準備ができましたら、またお知らせします!
べぇさん、みちこ先生
ご参加いただいた皆さま
どうもありがとうございました!!