乳がんと共に生きる女性たちへ~「痛み」と「こころ」に寄り添う研究 "CAI project" のご案内~
放射線科医として長年乳がんの診療に携わる中で、私はいつしか「診断」や「治療」だけでなく、「こころのケア」の重要性を強く感じるようになりました。
特に、30代〜60代の女性たちは、乳がんという病と向き合いながらも
仕事、家庭、子育て、介護、ホルモンの変化、ミッドライフクライシスなど
人生のさまざまな役割や課題と同時に向き合う時期でもあります。
私は現在、アメリカに暮らす日本人女性を中心に、オンラインで乳がんに関する医療相談も行っています。
その中で、「言葉の壁」「医療制度の違い」「頼れる人が身近にいない」など
不安や孤独を抱える方が少なくないことを実感しています。
また初期治療を終えても、痛みや気分の落ち込みが続くことは珍しくありません。
それでも

「もう治ったと思われてるし」

「ネガティブな話をして、空気を重くしたくない」
そう感じて、辛い気持ちグッとこらえてしまう方も多いのではないでしょうか。
「人に迷惑をかけてはいけない」という日本的な価値観も、心の壁になるかもしれません。
でも本当は、そんな思いこそ、少しのサポートで軽くできる可能性があります。
今回ご紹介するのは、まさにその「痛み」と「こころのケア」に焦点を当てた研究です。
私もこのたび、この研究を支えるコミュニティ・コンサルタントとしてお手伝いさせていただくことになりました。
アジア系アメリカ人女性を対象とした乳がん研究
~痛みとこころのケアを支える新しいプログラム~
テキサス大学オースティン校 看護学部では、乳がん経験者のアジア系女性を対象に、
がんによる「痛み」や「抑うつ症状」の改善を目指した研究「CAIプロジェクト」を実施しています。

研究の目的
がんの治療後も続く痛みや気分の落ち込みを、どのように和らげられるか。
この研究では、オンラインを活用した新しい支援プログラムの有効性を検証します。
参加条件
以下すべてに該当する方が対象です:
• 18歳以上のアジア系アメリカ人女性
• 乳がんと診断されたご経験がある方
• 英語・中国語(簡体字)・韓国語・日本語のいずれかが読めて書ける方
• インターネットにアクセスできる方
• 中国系・韓国系・日本系のいずれかに自認する方
• 過去1週間にがんによる痛みを経験した方
• 過去2週間に気分の落ち込み(抑うつ症状)を感じた方
研究の流れ
• 期間:約3ヶ月間(すべてオンライン)
• アンケート:計3回(開始前・1ヶ月後・3ヶ月後)
• 謝礼:アンケート完了後、$50のギフトカード
• フィットビットの使用あり(希望者)
参加者は2つのグループに分かれます:
• 対照グループ: 基本的ながん疼痛管理プログラム(CAPA)のみ
• 介入グループ: CAPA + CAIプログラム(追加支援あり)
※CAI研究はオンライン研究であり、移動は必要ありません。
参加方法(簡単3ステップ)
1. 研究公式サイトにアクセス
2. 言語(日本語あり)を選択
3. 「Join」をクリックし、メールアドレスを登録
4. 届いたスクリーニング調査に回答
お問い合わせ(日本語OK)
質問などがあれば、お気軽にご連絡ください。
Email: cai.help@austin.utexas.edu
Phone: 512-232-2142
担当: Dr. Eun-Ok Im(看護学部 教授)
※プログラム内には日本語対応可能なスタッフもおります。
日本語でのメール問い合わせも可能です。

最後に
がんの「痛み」や「気持ちの落ち込み」は、我慢すべきものではありません。
ひとりで抱えずに、ぜひサポートを受けるきっかけにしてみてください。
この研究が、あなたの毎日に少しでも寄り添う支えとなりますように。
また私自身も個別相談を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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