2026年2月15日Information メディア掲載 リプロダクティブライツ

日本でもついに薬局で購入可能に!緊急避妊薬(アフターピル)の正しい知識と入手方法

このたび、私が記事監修を担当したフェムテックジャパンカレッジでの「緊急避妊薬」に関する解説記事が公開されました。

日本でもようやく、2026年2月2日より一部薬局で処方箋なし購入が可能になりましたね。

「コンドームが破れてしまった」
「避妊をしてもらえなかった」

そんな予期せぬ事態に直面したとき、妊娠を防ぐための“最後の砦”となるのが緊急避妊薬。
いざという時、自分の身体と人生を守るために、正しい知識を持っておきましょう。


緊急避妊薬(アフターピル、プランB)とは?

緊急避妊薬は、避妊が不確実だった性行為のあとに、緊急的に服用する薬です。

主な作用

・排卵を遅らせる
・受精卵の着床を妨げる

つまり、「妊娠を成立させない」ための薬です。

中絶薬との違い

すでに成立した妊娠を終わらせる中絶薬(いわゆるプランC)とはまったく別のものです。

服用期限

性行為から72時間(3日)以内に服用する必要があります。
早ければ早いほど効果は高くなります。

避妊率

約80〜85%
※100%ではありません

副作用

吐き気・頭痛・不正出血・月経の乱れなど

あくまで「応急処置」。
日常的な避妊法の代替にはなりません。



2026年2月からの購入ルール(日本)

市販化によりアクセスは改善しましたが、いくつかの重要なルールがあります。


アクセスは改善しましたが、ハードルはまだ低いとは言えません。
経口中絶薬の承認と似ています。

私が住むアメリカとの比較

アメリカでは市販薬の棚に置かれ、年齢制限や身分証明書は不要。
レジで支払うだけで購入でき、薬剤師のカウンセリングは任意です。

薬局での価格帯は11-50ドル。
販売形態やブランドにより幅はありますが、日本と比較すると入手の即時性と価格の柔軟性が特徴です。

大学キャンパスでのアクセス拡大

近年、特に顕著なのが大学におけるアクセスの改善です。

現在、約125〜150校以上の大学キャンパスに緊急避妊薬の自動販売機が設置されています。

価格は概ね20〜40ドル程度に抑えられ、学生にとって心理的・経済的負担を軽減する仕組みが整いつつあります。

さらに、

・ニューヨーク州
・ワシントン州
・メリーランド州

などでは、大学キャンパスへの設置を義務化、あるいは支援する法律が施行されています。

これは単なる利便性向上ではなく、政策的判断です。

Post-Roe時代という背景

2022年、米連邦最高裁は
Dobbs v. Jackson Women's Health Organization 判決により、中絶の憲法上の権利を否定しました。

いわゆる「Post-Roe時代」の始まりです。

州ごとに中絶へのアクセスが大きく制限される中、
緊急避妊薬は“事後対応”ではなく“予防的介入”として再評価されています。

中絶という医療行為へのアクセスが制限されるからこそ、
その前段階である妊娠予防へのアクセスを制度として担保する。

大学キャンパスでの自動販売機設置の拡大は、
学生が自らの生殖に関する健康を守るための、現実的かつ政策的な対応として定着しつつあります。


実は私も、学生時代に服用したことがあります

実は私も一度だけ、産婦人科で処方してもらったことがあります。

翌日、年配の男性医師の前で
「コンドームが破れてしまって」と説明した際
少し責められているような気もして、とても緊張しました。

服用後は強い吐き気。
「もしこれでも妊娠していたらどうしよう」という不安。

決して良い思い出ではありません。

だからこそ私は、安易に使うことは勧めません。
あくまで「最後の砦」です。

でも、必要な人が、必要なときに、アクセスできることは重要です。


「自分の身体は自分で守る」ということ

避妊の責任は本来ふたりにあります。
けれど、妊娠という身体的・社会的影響を引き受けるのは女性です。

望まない妊娠は、避けられるなら避けた方がいい。

そのために必要なのは、まず知識です。

✔️ 1回の性行為でも妊娠する可能性があること
✔️ 緊急避妊薬という選択肢があるが、あくまで応急処置であること

そして次に、行動できる環境です。

✔️ 必要なときに速やかに入手できること
✔️ 日常的により確実な避妊法を選択できること

コンドームの使用や、低用量ピル・IUDなどの長期避妊法を含めた選択肢を知ることも重要です。


制度は前進した。しかし道のりは続く


日本は今回の市販化によって、一歩前に進みました。

ここまで来るには、長い時間をかけた議論や、現場からの声、制度づくりに関わった多くの方々の努力があったはずです。医療者、研究者、行政の方々、市民団体の皆さん――その積み重ねがあって、いまがあります。

まずはその歩みに、心から敬意を表したいと思います。

その一方で、価格や購入のしやすさ性教育の充実など、これから丁寧に考えていけることもまだあります。

制度は一度で完成するものではなく、社会とともに少しずつ育っていくもの。

「産む・産まないを自分で考え、選ぶこと」が、特別なことではなく、自然に尊重される社会へ。

今回の前進を大切にしながら、
誰もが安心して自分の人生を選べる環境が、さらに整っていくことを願っています。



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