2025年3月13日Information メディア掲載 リプロダクティブライツ 活動報告

フェムテックジャパンカレッジ記事監修「経口中絶薬が選択肢のひとつに!身体と心を守るために知っておこう」

今回は、経口中絶薬についてのの記事監修をさせていただきました。


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経口中絶薬が選択肢のひとつに!身体と心を守るために知っておこう

経口中絶薬『メフィーグパック』が2023年4月21日に認可され、1年以上が経過しました。ですが、経口中絶薬がどんな薬で、どのくらいの費用がかかるのかなど、具体的なこと…

日本では経口中絶薬の認可がなかなか進まず、ようやく認可されたものの、使用には厳しい条件が設けられています。

・登録された母体保護法指定医師の確認のもとでの使用

・当分の間、入院可能な有床施設でのみでの使用

・2剤目投与後は胎嚢(たいのう)の排出が確認されるまでの入院・院内待機が必須

・費用は10万円


このような厳しい制限があるため、経口中絶薬を必要とする人にとっては、依然として大きなハードルとなっています。

しかし、日本の状況に疑問を感じる一方で、私の住むアメリカでも、中絶をめぐる環境は厳しさを増しています。経口中絶薬自体が市場から姿を消す可能性すらあるのです。

ドキュメンタリー『PLAN C』が映し出す現実

先日、『PLAN C』 というドキュメンタリーを視聴しました。この作品は、経口中絶薬のアクセスを確保するために活動するNPO「PLAN C」に焦点を当てています。

2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった当初、テキサス州やオハイオ州を含む11州 では、中絶が「不可欠ではない医療処置」とされ、厳しい規制が課されました。この措置は中絶を求める人々に深刻な影響を与えましたが、同時に大きな変化ももたらしました。

FDA(米国食品医薬品局)は、経口中絶薬の処方に対する「対面診療の義務」を一時的に緩和。これにより、オンライン診療や郵送での薬の処方が可能になり、多くの人が自宅で中絶薬を入手できるようになりました。

ドキュメンタリーでは、「PLAN C」の活動に関わる医師や助産師(ミッドワイフ) たちの姿が描かれ、中絶薬のアクセスを広げるための取り組みが紹介されています。


アメリカでは、中絶の権利を守る象徴的存在だったルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の死去 以降、最高裁の保守派優位が進みました。

その結果、各州で中絶に対する厳しい制限が次々と導入され、ついにRoe v. Wade(ロー対ウェイド)判決が覆される こととなります。

『PLAN C』は、このような中絶規制に対抗し、アメリカ全土で中絶薬のアクセスを確保するための活動 を続けています。

どうなる?日米のリプロダクティブライツ

日本とアメリカ、それぞれの国で経口中絶薬をめぐる状況は異なりますが、共通しているのは、「必要とする人が、安全かつ適切に薬を使用できる環境を整えることの難しさ」 です。

また、中絶だけでなく、そもそも予期しない妊娠を防ぐための避妊の選択肢 も、すべての人がアクセスしやすい環境であるべきです。自分の身体と心を守るために、避妊についての知識を持ち、適切な選択ができるようにしていきましょう。

What Makes Girls Sick and Tired

避妊や中絶は女性の問題として扱われる。しかし、社会はそれを妨害する力を持ち、その理不尽さに女の子たちはうんざりしている。

ー「What Makes Girls Sick and Tired」より



この言葉に、強く共感します。

本来、避妊や中絶の選択は、個人の権利であり、誰かに制限されるものではありません。しかし、社会の規制や偏見がその権利を奪い、選択肢を狭めているのが現実です。

女性の健康や生き方をコントロールしようとする社会のあり方に、怒りを感じずにはいられません。
それでも、声を上げ続けることが大切だと信じています!